本校4年目、理科の柿原智明です。今年度は理科専科として3年生と6年生の理科授業を中心に担当します。
子どもたちが観察・実験に取り組むときの顔は、とても真剣です。その真剣さの根底には、「なぜだろう」「どうなっているんだろう」という問いから生まれる、「知りたい!」という探究心があるはずです。
昨年度の6年「てこのはたらき」の単元において、オリジナルのモビールづくりに取り組みました。また、その中でモビールの作り方や、自分のモビールがつり合っている仕組みを説明書にまとめる活動を設定しました。
モビールの説明書をまとめていく中で、てこが水平につり合う時のきまりは、支点からの距離とおもりの重さの“かけ算”で表せるという意見と、“足し算”で表せるという考えが出されました。
そこで、実験を行う時間を設定し、結果のまとめ方で分類して黒板に貼り、全員でどちらの考えがより妥当なのかを検討すると、以下のような発言が生まれました。
C : | どの班もほぼ同じ。正確に確かめられたんじゃない? |
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ゆきこ: | それぞれの班の結果を見てみると、やっぱり、きまりはかけ算になっているって言えるみたいです。 |
T : | じゃあ、この結果を表にまとめてみようか。 (移動式黒板に、表を大きく書き、結果を整理していく) |
こうた: | そっか、もし支点からの距離とおもりの重さの“足し算”だったら、反対側のうでのおもりが0個だったとしてもつり合うところが出てくるのか。やっぱり“かけ算”のきまりって言えるんじゃないですか。 |
C : | ああ、きまりが“かけ算”だったら、距離がどこまで大きくなったとしても、きまりが成り立つね。 |
全体の場で、表にして数値をまとめたことや、そこから気付きがあったこうたさんの発言を取り上げたことで、得られた実験結果だけでなく、「もしこうだったら、このような場合にはきまりが成り立たない」といった考え方も使いながら、みんなでより妥当なきまりをつくり上げる姿につながっていきました。また、単元の最後には、それまでに明らかになったつり合いのきまりを基に、モビールの説明書を書くことができました。
私が大切にしたいと思っているのは、「子どもが単元を通して追究し続けることができる単元デザイン」です。そこには、教材との魅力的な出会いと、問いを自分事として捉えることが重要だと考えています。一方で、常に自分一人だけで追究していては、科学的な妥当性が保証されないだけでなく、多様な考え方と出合うことができません。
そこで令和7年度は、これまで研究してきた
①単元のはじめで「どうなっているんだろう」という探究心をもつことができるような教材の開発
②自分なりに納得する答えを見つけるために追究する過程を通して、そのものの本質に迫ることができる単元構成
の2つに加えて、
③理科学習において、問題を追究する中でも、他者を求めたり、他者とともに学ぶ価値を理解した上で学び方を選んだりすることができるための手立て
についても研究を進めていきます。
そして、附属小の子どもたちと一緒に、理科って楽しい!と思える学びを重ねていきます。