研究活動

THE STUDY

国語科 木下忠志

言葉で豊かに世界を広げる子どもの姿を目指して

 本校5年目になりました。今年度は、4年1組を担任しています。初任以来の4年生担任として、昨年の実践を基に、より研究を進めていきたいと思います。

 

 昨年度は「たずねびと」「大造じいさんとガン」の教材で、「たずねびと紀行文」「大造じいさん伝記」という言語活動を核とした単元作りに取り組みました。

 そして、言語活動をデザインする際に「表現と理解の相互循環」を活性化させるため、「活動の視点」と「言語意識」を組み込むことで、子どもたちが言葉に立ち止まり、物語の全体像や登場人物の人物像を具体的に想像し、読みを深めていく姿が見られました。また、単元の導入で、子どもたちの初発の感想を基に、言語活動の目的やゴールを設定するなど、子どもたちと共に枠組みを調整したことで、互いの表現を評価意識をもちながら見合う姿も見られました。

 

 二つの実践を通して見えてきたことは、「活動の視点」に留意して言語活動を設定することで、高学年の子どもたちが登場人物に同化して、物語を読むことが人物像や全体像を具体的に捉える上でも欠かせないということでした。高学年の言語活動は、読者の視点(三人称視点)から俯瞰的に物語を読むものが多いですが、真に物語を読み深める上では、人物の心情やその変化を具体的に捉えることが重要です。そのためにも、人物になりきって物語を読むことは、効果的であるということが二つの実践から見えてきました。

 一方で、課題として見えてきたのは、「全体の場の在り方」です。「たずねびと」の実践では、子どもたちが暗示性の高い表現を読み解く上で、「複数の場面を結び付ける」という読みの方法を獲得したことで、それぞれの表現や叙述の解釈に生かされている姿がありました。

 しかし、「大造じいさんとガン」では、それぞれの読みの解釈が交流されるだけに留まり、全体の場が個々の表現活動に活かしきれていない姿がありました。教師としても「物語から読み取らせたいこと」に目が向きすぎており、子どもたちの自由な読みを大切にできていなかったと感じています。

 また、「分析的な読み」をたのしむ子どもたちが多い一方で、なかなか叙述を根拠にしながら、生活経験や既有知識と関連付けて想像を広げていくことには課題を感じています。

 

 そこで今年度は、全体の場での学びと個々の活動を繋ぐために、全体の場で何を子どもと共に見出していくのかという「全体の場の目的」を意識して授業を行っていきたいと思います。そして、テクストベースに留まらず、自分が想像したことの「理由付け」を言葉で表現できる子どもの育成を目指していきたいと思います。そのために欠かせないのは、やはり他者の存在です。他者と言葉の意味を吟味したり、言語表現を問い直したりしながら、言葉を通して世界を広げ、確かな読みの力を子どもたちと育んでいきたいと思います。