研究活動

THE STUDY

体育科 冨永悠真

体育を愉しむ子ども〜教師の願いと子どものエージェンシーをもとにした授業デザインから〜

 本校1年目の冨永悠真です。今年度、4年3組を担任しています。

 子どもたちに好きな教科を聞くと必ずといっていいほど上位にくる体育科。続けて、その理由を聞くと「楽しいから」とよく返ってくるかと思います。さて、これらの子どもたちは何を楽しんでいるのでしょうか?私は、子どもたちに体育の本質を愉しんでほしいと願っています。そして、その鍵は「楽しい」と「愉しい」の違いにあると考えます。子ども自身の内側から湧いてくるエージェンシー(自らよりよい動きを追求したいと考える力)をもとに体育の授業を構想していくことが「愉しさを味わう」ことにつながると思います。そう考えると、まずは今の体育科の授業課題を解決していくことが重要です。先生方と話す中で以下の2点のような授業をよく耳にします。

①活動あって学びなしの授業(学習内容が明確でない授業)
②対話に焦点が当てられすぎるあまり活動が保障されていない授業

 ①については、一見楽しそうに活動はしているように見えますがレクリエーションになっていて子どもたちが「何を学んでいるのか」わからない授業があります。②については、一見活発に話し合いをしているように見えますがやりとりだけの対話になり「運動量が不足している」授業があります。
 そこで、私は体育科ならではのよさを発揮できる授業を研究していきます。具体的には、学習者が身体を媒介にし、他者や対象(価値)とかかわる授業です。そのために、次の2つの視点をもとに研究を進めていきます。

①学習内容を明確にすること(既存の競技種目からの転換)
②学習環境のデザイン(場づくりや学びの集団づくり等)

体育科

図1

 ①については、例えばバスケットボールではボール操作やボールを持たない動き、意思決定等の「何を学ぶか」が重要です。そのために、既存の競技種目を教材化し、教師の願い(子どもたちに何を身につけさせたいのか)を明確にしていくことが大切です。②については、教室ではあまりできない体を動かしながら子ども同士が自ら対話をしたくなるような場を設定することが必要不可欠です。また、教師が子どもの見取りをもとに意味ある集団を意図的に設定することも必要です(図1)。

 これらのことから、今年度は教師の役割の視点から体育を愉しむ子どもの育成に向けて教師の願いと子どものエージェンシーをもとにした授業デザインについて研究していきます。