研究活動

THE STUDY

体育科 冨永悠真

しなやかに動ける子ども〜遊びや運動を通して”カン”を磨く体育科学習〜

 

本校2年目の冨永悠真です。今年度は教職生活初の1年生(2組)を担任しています。

現代の体育においては、単に技能を習得するだけでなく、変化する状況の中で自ら判断し、他者と関わりながらよりよい動きを創り出す力が求められています。私は、その中核となるのが「カン」であると考えています。「カン」は、知識として教えられるものだけではなく、実際の運動経験や仲間との関わりの中で働き、磨かれていく統合的な力です。例えば、タイミングを捉える「間」、瞬時に判断する「勘」、動きの手応えを感じる「感」などは、状況に応じて柔軟に発揮される必要がある。また、他者の動きから学ぶ「鑑」や、見方・考え方を働かせる「観」、コツを捉える「肝」といった認知的側面、さらに、仲間と関わる「関」や、失敗を受け入れる「寛」といった関係的側面も含め、「カン」は運動の質を高めるだけでなく、学びそのものを深める働きをもっています。つまり「カン」とは、身体・思考・関係をつなぎ、状況の中で最適に動くための総合的な力であり、これからの体育において育成すべき重要な資質・能力です。

さて、小学校1年生は感覚が未分化で「動くことそのもの」に喜びを感じる時期です。この時期に、「カン」の中でも特に「感(身体感覚)」「間(空間・時間)」「勘(直感)」「関(仲間)」の基礎を耕すことで、運動への主体的な関わりと多面的な資質・能力を育みながらしなやかに動ける子どもの育成を目指します。

そのために、今年度は教師の見取りや価値付け、言語化や共有化する方法や振り返りの在り方、対象との出合わせ方や単元の枠組み、場の工夫等について探っていきたいと思います。特に、本年度は低学年体育におけるボールゲーム・鬼遊びを中核に据えて研究を進めていきます。ボール運動は「○○型」に整理され、ボールを持たない動き(off the ball movement)や戦術的な学びが重視されています。一方、低学年の「ゲーム」領域においては次のように例示されています。

  • ボールゲームでは的当てやシュートゲームなど、簡単なボール操作で成立する活動
  • 鬼遊びでは一人鬼や宝取り鬼など、逃げる・追う関係を中心とした活動

これらは一見すると学びやすい内容ですが、実際には、

  • ボールゲームでは「投げる・捕る」といった個人技能が成果を左右しやすい構造
  • 鬼遊びでは「逃げる・追う」といった基礎的な動きにも技能差が影響する実態
    があり、学びの質にばらつきが生じやすいです。さらに中学年になると、「ゴール型」等の集団

で一つのボールをめぐるゲームへと移行し、個人技能だけでなく、チームとしての関わりや戦術的判断が重要となります。しかし現状では、低学年段階で戦術的な視点が十分に育成されていないこと、集団的達成をねらった教材開発が不十分であると考えています。そこで、幼児教育との接続を踏まえ、次の3つのことを具体的に研究として深めていきます。

  • 低学年の鬼遊びを基盤とした戦術的な動き(逃げる・追う・かわす・見る)の育成
  • 個人技能に依存しすぎないボールゲームや鬼遊びの教材構成の工夫
  • 集団的達成をねらいとした協働的・戦術的な学びを生む教材開発

特に、鬼遊びについては、単純な追跡関係にとどまらず、複数の仲間との関係や状況判断を伴う構造へと発展させることで、チームとしての戦術的思考の萌芽を育てる教材として再構成することを目指していきます。