衛星データ取得の年月日 | 衛星/センサ | 使用目的 |
1994年4月3日 | JERS-1/OPS | 2000年噴火前の植生分布 |
2003年4月7日 | Terra/ASTER | 2000年噴火後の植生分布 |
2007年5月11日 | Terra/ASTER | 2000年噴火後の植生分布 2003年4月7日以後の植生回復状況 |
植生指数(NDVI)画像 | NDVI画像は、植物が可視光をよく吸収するのに対して近赤外域を
よく反射する性質にもとづいて考案された、植物の量や活性度を調査するのに
適した画像である。規格化することで地形の起伏による影や大気の影響を軽減する
ことができる。NDVI画像は次式から求められる。![]() ここで、VISとNIRにはそれぞれ可視と近赤外バンドのDN値を割り当てる。 |
ナチュラルカラー画像 | 赤色に赤色バンド、緑色に近赤外バンド、青色に緑色バンドを割り当てて カラー合成した画像. |
フォールスカラー画像 | 赤色に近赤外バンド、緑色に赤色バンド、青色に緑色バンドを割り当てて カラー合成した画像. |
左のOPS(NDVI)画像は、2000年の三宅島噴火以前は島のほとんどが
植物に覆われていたことを示している。黒く表示されている部分は、
海や池などの水面や火口付近の裸地、南西部の溶岩流及び東側にある
三宅島空港や道路などである。 右のASTER(NDVI)画像の島内の大局的な濃淡の分布をみると、島の東部と 南西部では山麓まで暗い領域が広がっている。このNDVIが小さい領域は、 高濃度SO2が観測される割合の高い火山ガス測定局の位置と 一致しており、火山ガスによる植生へのダメージが大きい領域である ことが示されている。一方、北東部や南東部は明るく表示されており、 他の方向に比べると植物へのダメージが少なく、植生の量や活性度が 高いことがわかる。( 三宅島島内火山ガス環境の季節・地域特性) |
2000年の三宅島噴火前後の植生分布の変化からハザードマップを作成するために、
OPS (NDVI)画像とASTER (NDVI)を利用した。これらは異なる衛星/センサーのデータなので、
海岸線や溶岩流など8点の基準点を指定して位置合わせを行った。その後、OPS(NDVI)画像
とASTER(NDVI)画像の差をdNDVIとして計算した。火山ガスの影響がない部分の植生指数が
OPS(NDVI)とASTER(NDVI)とで等しいと仮定すると、火山ガスによる植物へのダメージが
大きくて、ASTER画像で植生指数がより小さくなるほどdNDVIが大きくなる。 ハザードマップは、火山ガスの危険が非常に高い地域を赤、高い地域をオレンジ、 それほど高くない地域を藤色、あまり高くない、もしくはもともとのNDVIが小さかった領域 を青となるように色分けした。水面や道路などの領域のマスク画像はJERS-1/OPSの 近赤外バンドを用いて作成した。 |
フォールスカラー画像と植生指数画像の両方から、2003年4月から2007年5月の約4年間 で植生がかなり回復した様子がわかる. |
植生の回復状況をくわしく観るために,2007年と2003年のNDVIの差を求めた。 白く表されているほど植生の回復が大きく、黒で示されている領域は植生の変化が無いか 減少している領域である。東部や南西部においても山麓部まで植生が回復していることが よくわかる. |
左は1994年と2003年の植生指数の差から作成した2003年ハザードマップ。
右は1994年と2007年の植生指数の差から作成した2007年ハザードマップ。
マスク処理は行っていない。 南西部については、2003年ハザードマップでは危険度が非常に高い領域が標高75m あたりまで達していたのに対し、2007年ハザードマップではその領域が標高200m 辺りまでになっている。 東部は、2003年ハザードマップでは海岸部まで危険度が非常に高くなっているが、 2007年ハザードマップではその領域は山腹部まで後退している。ただし、火口の東 の東の領域では、いまだに山麓付近まで危険度が高い状況である。 |
口頭発表 | 飯野直子・芝貴章・矢野利明・木下紀正, 植生指数画像による三宅島島内火山ガスハザードマップの試作, 日本リモートセンシング学会第36回学術講演会論文集, pp.33-34 |
2004.5 | |
口頭発表 | 飯野直子・木下紀正, 三宅島高濃度火山ガスハザードマッピング ―衛星画像による植生指数変化と八丈島高層風との関係―, 第23回日本自然災害学会学会学術講演会講演概要集, pp.111-112 |
2004.9 | |
口頭発表 | 飯野直子・木下紀正・金柿主税・矢野利明・福原 稔, 三宅島島内の火山ガス環境と植生, 第6回大気環境学会九州支部研究発表会講演要旨集, pp.7-8 |
2006.1 | |
国際シンポジウム | Naoko Iino, Kisei Kinoshita, Toshiaki Yano and Shuichi Torii, Estimation of Miyakejima volcanic gas hazards using vegetation index images, Proc. 11th CEReS Int.Symp. Rem. Sens., 13-14 December 2005, Chiba, Japan, pp.105-110 |
2006.4 | |
会誌 | 飯野直子 三宅島島内高濃度火山ガスハザードマッピング, 鹿児島県地学会誌, No.92, pp.3-12 |
2006.9 | |
口頭発表 | 飯野直子・木下紀正・Thomas BOUQUET・金柿主税, 三宅島島内火山ガス濃度と植生の経年変化, 第8回大気環境学会九州支部研究発表会講演要旨集, pp.11-12 |
2008.1 | |
口頭発表 | 飯野直子・金柿主税・木下紀正, 三宅島島内火山ガス環境と植生の経年変化, 第27回日本自然災害学会学術講演会講演概要集, pp.35-36. |
2008.9 | |
口頭発表 | 飯野直子・金柿主税, 2007年のNDVI画像を用いた三宅島火山ガスハザードマッピング, 第9回大気環境学会九州支部研究発表会講演要旨集, pp.17-18. |
2009.1. |