粒子画像速度計測法(PIV)を用いた噴煙高度・移流の解析


■噴煙移流の解析手順
  1. 噴煙地上映像観測システムによる噴煙映像の撮影
  2. 撮影映像からPIVにより噴煙の流速を算出
  3. 平面投影プログラムを用いて噴煙の移流高度や流向を算出
  4. 3の結果から2を補正し,実際の噴煙の流速を算出
  5. 鹿児島地方気象台で観測された高層風データと比較・検討
■解析結果
※PIV解析結果は,噴煙領域外のベクトルを手動で削除した画像である.
2006/10/24 13:26〜13:31 (動画)
  • PIV流速:0.43〜5.75 m/s
  • 噴煙高度:1180 m ,流向:355°
  • 流向補正したPIV流速:1.10〜14.7 m/s
  • 鹿児島高層風(9時,1068 m):357°,13 m/s
2006/11/4 13:49〜13:56 (動画)
  • PIV流速:0.34〜3.12 m/s
  • 噴煙高度:1490 m ,流向:230°
  • 流向補正したPIV流速:0.35〜3.19 m/s
  • 鹿児島高層風(9時,1509 m):230°,3 m/s
2006/11/5 13:40〜13:46 (動画)
  • PIV流速:0.56〜4.26 m/s
  • 噴煙高度:1490 m ,流向:230°
  • 流向補正したPIVの流速:0.57〜4.34 m/s
  • 鹿児島高層風(9時,1522 m):235°,4 m/s

■PIVによる流速算出の精度向上のための研究手順
  1. 噴煙地上映像観測システムによる噴煙映像の撮影
  2. 可視画像及び赤色分光画像についてPIVにより噴煙の流速を算出
  3. 可視画像と赤色分光画像の過誤ベクトル発生の程度や特徴,さらには気象条件による違いなどを検討
  4. 平面投影プログラムを用いて噴煙の移流高度や流向を算出
  5. 4の結果から2を補正し,実際の噴煙の流速を算出
  6. 鹿児島地方気象台で観測された高層風データと比較・検討
■解析結果
可視画像のグレースケール変換画像,赤色分光画像,緑色分光画像,青色分光画像の比較
赤の光は,緑や青よりも波長が長いため,散乱が少ない.
したがって,R画像では他の3枚の画像に比べて明らかに空の輝度が低く, 噴煙とのコントラストが大きく,噴煙の輪郭が明瞭である.
2006/10/24
左がグレースケール変換画像,右が赤色分光画像によるPIV解析結果.
グレースケール変換画像には多くの過誤ベクトルが見られるのに対して, 赤色分光画像にはほとんど過誤ベクトルがみられない.
各図中の黒丸の点における流速は,グレースケール変換画像:5.0,5.2,5.0 m/s, R画像: 5.2,4.9,5.7 m/s.
2006/11/4
左がグレースケール変換画像,右が赤色分光画像によるPIV解析結果.
グレースケール変換画像には左向きの大きな過誤ベクトルが多数見られるのに対して, 赤色分光画像には過誤ベクトルがみられない.
各図中の黒丸の点における流速は,4.0,3.0,1.8 m/s,R画像: 4.2,3.8,2.1 m/s.
2007/10/29 12:50:30〜12:51:30 爆発噴煙(動画)
灰煙であるため噴煙の輝度が低く,可視画像では噴煙と空との輝度差が小さい 噴煙縁において過誤ベクトルが発生しているが,R画像では空の輝度値が噴煙に 比べて十分に低く,過誤ベクトルは発生していない.
  • 噴煙高度:3550 m ,流向:245°
  • 流向補正したPIV流速(グレースケール変換画像):13.3〜35.6 m/s
  • 流向補正したPIV流速(R画像):16.1〜27.3 m/s
  • 鹿児島高層風(9時):3158〜4599mにおいて12.9〜25.2 m/s

■論文
  • 川越知明,PIVによる連続自動噴煙映像を用いた風向風速の算出,平成18年度鹿児島大学工学部機械工学科卒業論文,鹿児島大学,2007
  • 加藤孝明,PIVによる噴煙映像を用いた流速算出の精度向上,平成19年度鹿児島大学工学部機械工学科卒業論文,鹿児島大学,2008
  • 川越他,桜島噴煙映像を用いた風向・風速算出の試み,桜島噴煙映像を用いた風向・風速算出の試み,2006年度日本気象学会九州支部講演要旨集, pp.17-18,2007 (pdf)
  • 飯野他,PIVによる噴煙自動観測映像を用いた流速算出の精度向上,2008年度日本気象学会九州支部講演要旨集,No.30,pp.9-10,2009.
  • (pdf)


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