教職大学院

Professional graduate school

熊本から新しい教師教育が始まる

大学院教育学研究科・教職実践開発専攻は、教職大学院の課程です。現職教員学生と学部新卒学生 (ストレートマスター)、研究者教員と実務家教員が、相互に学び合う場が充実していることで、それぞれの立場から、多面的に地域の学校を支える活動を展開しています。
教職大学院は、従来の3つのコース(学校教育実践高度化コース、教科教育実践高度化コース、特別支援教育実践高度化コース)に加えて、令和7年度からは教育の国際化実践高度化コースを設立し、新たな体制をスタートさせました。

教育学研究科長 挨拶

藤田 豊
教育学研究科長
藤田 豊

 今年度に入り,2019年12月以降猛威を振るって来たCOVID-19(新型コロナ感染症)も5類移行となり,3年半にわたって活気をすっかり無くしていたキャンパスに学生たちが戻って来て,賑やかなおしゃべりが心地よく響いています。

 コロナ禍の間,国民一人ひとりが感染しないように新しい生活様式を身に付けることを求められながらも,今世紀以降,国際社会が抱える問題は益々複雑になり,様々なネットワークや因果関係の繋がりのなかで私たちの毎日の生活が成り立っていることに気付かされます。爆発的な人口増加と食糧危機問題,極端気象に見られる気候(自然災害)問題や地球温暖化(沸騰化)対策に係る解決困難な諸問題,そして昨年から未だに出口が見えないロシアのウクライナ侵攻に,今年はアフリカ諸国に見られる深刻な紛争問題など,地球規模で起きている問題を理解し,解決の糸口を見いだすことは決して容易なことではありません。安定した持続可能な社会の実現に向けて私たち一人ひとりが努力していかなければならないことを教えてくれているように思います。

 令和4年12月に中央教育審議会答申が出され,令和の日本型学校教育を実現するために,児童や生徒の「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実させ,「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けて,教師自身の学び(研修観)を転換し,子どもの学びの相似形として,子どもの学びの伴走者となれるよう,新たな教師の学びの姿を実現することが求められています。教師一人ひとりが身に付ける専門性を向上させ,お互いを尊重し合い,学校組織としてのレジリエンス(復元力や立ち直る力)を高めることも求められます。学校の管理職がリーダーシップを発揮し,教職員一人ひとりの心理的安全性を確保し,教職員の多様性に配慮した教育組織として成長していくことが求められています。

 平成29年に熊本大学教育学研究科に設置された教職大学院は,令和7年度に教育の国際化実践高度化コースを新設し,学校教育実践高度化コース,教科教育実践高度化コース,特別支援教育実践高度化コースと合わせ4コースを擁し,1学年30名の定員で運営されています。開設当初から,「理論と実践の往還」を「教育研究を推進する核」とし,常に学校現場での実践に身を置きながら,実務家と研究者の教員スタッフと連携協働し,仲間と支えあいながら,自ら問い自ら考え自ら学ぶことの大切さを大学院生と教職員が一緒になって共創し体現して参ります。

教職大学院の概要

 教育学研究科は、修士課程の大学院研究科として昭和61年4月に設置され、平成21年4月から、学校教育実践専攻と教科教育実践専攻の2専攻で構成される組織となりました(修士課程は令和2年度から学生募集を停止しています)。その後、平成29年4月に、教職大学院の課程(教職実践開発専攻)を新設(入学定員15名)、令和2年4月から、学校教育実践高度化コース、教科教育実践高度化コース、特別支援教育実践高度化コースの3コース制を導入し、入学定員30名に改組・拡充しました。令和7年4月からは教育の国際化実践高度化コースを新設し、全4コースで構成しています。

 教職大学院では、学校教育の現場や教育委員会等との密接な連携に基づき、理論と実践の往還・融合を通じた高度な教員養成及び教員研修の体制を整え、機能強化を図っています。学部卒の大学院生と現職派遣大学院生、研究者教員と実務家教員の協働により、高度な実践的指導力の育成を目指す点に特色があります。修了者には教職修士(専門職)の学位が授与され、教員専修免許状も取得できます

「生涯協働し、学び合い続ける」教員の養成

  • 4つのコース(学校教育実践高度化、教科教育実践高度化、特別支援教育実践高度化、教育の国際化実践高度化)
  • 研究者教員と実務家教員、現職教員学生と学部新卒学生の相互刺激
  • それぞれの教職経験や研修ニーズに応じた力量形成・資質涵養

コースの概要

学校教育実践高度化コース

学校や地域の教育における授業実践開発、生徒指導・教育相談、学級経営・保健室経営・学校経営に関わる深い理解と優れた資質・能力を持つ高度な教員の養成を目的とするコースです。

教科教育実践高度化コース

教科教育実践高度化コースでは、学校や地域の教育を深く理解し、教科教育の授業実践開発についての深い理解と優れた資質・能力を持つ高度な教員の養成を目的とするコースです。

特別支援教育実践高度化コース

特別な支援を必要とする幼児・児童・生徒に対する深い理解と指導力、校内支援体制のコーディネート力、インクルーシブ教育システムに関する理解等において高度な資質・能力を持つ教員の養成を目的とするコースです。

教育の国際化実践高度化コース

教育環境が国際化に向けて急速に変化しつつある状況において、外国人児童生徒と日本人児童生徒が共に学び合う教育を実施するために必要な教育の方法(英語と日本語によるイマージョン教育)や適切な生活支援・学習支援に係る深い理解と優れた資質能力(グローバルマインド)を持った高度な教員の養成を目的とするコースです。